2021年2月28日日曜日

祈り (2011/4/16作品)

 どこに誰に向かって祈ったらいいのかよくわかりません。


それでももうやめてって、もうこれ以上は揺れないでって祈りたいのです。

私たちは愚かですが愚かなりに一所懸命生きてきたと思います。
そしてたくさんの過ちも犯しました。

地球の 大気の、、、その怒りはまだ治まらない。

人間の奢りや傲慢さが自然の怒りをかったのでしょうか。

どうかもう許してください。

荒れた海。壊れた大地。泣き叫ぶ人々。

そして二度と帰らぬ命。

夜空を見上げれば今までと変わらず光る星。

人間を嘲笑っていますか。それとも哀しんでいますか。

私たちは空を見上げ星を見つめ希望を見出します。

たくさんの命とともに祈りをささげたら叶えてくれますか。
平凡でささやかな幸せをまた感じさせて欲しいのです。

早くこの試練から逃れたい。
そう思う事は罪なのでしょうか。

どうか愚かな人間をお許しください。
ただただ生きたいのです。
生ある限り生き抜きたいのです。
たったそれだけ、たったそれだけを貫きたいのです。

幼子が母を求め泣いています。

引き裂かれた心の傷から流れる血を止める方法を教えて欲しいのです。

どうか誰もが幸せを感じられる日が一日でも早く訪れますように。
非力な私にはそう祈ることしか出来ません。

森に住んでいる白いクマ (2011/2/2作品)

 この世界のどこかに森に住んでいる白いクマがいると言う。

遠い昔氷の国からやってきた。
世界がどんどん暑くなってきた時、氷の世界はどんどん小さく狭くなったため住めなくなってしまった。
何年も何年もかけて住む場所を探し続けようやく落ち着いた先がこの森だった。

年月が過ぎとうとう最後の一頭になってしまった白いクマ。
自分の祖先がどこに住んでいたかもわからないくらい時が過ぎていた。

何故自分だけが白いのか、何故こんなにも冬がうれしいのかこの白いクマは分からない。

そして今年もまた雪の降る季節がやってきた。
自分以外のクマはこの寒い時期冬眠をしてしまうため一人ぼっちで過ごす。
一人ぼっちでも全然寂しくは無かった。

だって待ちに待った季節だったのだから。
心が踊り狂うくらいうれしい季節がやってきたのだから。

気がついた時には自分は一人だった。
親がどこに行ったのか分からない。
この森は白いクマに優しかったから生きる事が出来た。

この森に雪がに深々(しんしん)と降り積もる。
白いクマはその景色に溶け込む。
まるで初めからそうあったように。

両手を広げ雪を受け止める。
掌に落ちてはすぐに無くなる白い雪。

一瞬垣間見える結晶を白クマは何度も何度も見ていた。

この結晶をたくさん集めることができたらどんなに良いだろう。
たくさん集めていろんな葉っぱの上に飾ったらどんなに綺麗だろう。

すぐに消えてしまう雪の結晶に何度も何度も手をかざす。

白白白。
自分と同じ白。
この寒さが心地良い。
この冷たさがうれしい。

いつの間にか白いクマは踊りだしていた。
くるくる回ったり両手を広げて寝転んだり。

ここは白いクマだけの世界。
1年でほんの少しだけ神様に与えられた白クマだけの氷の世界。

どうしてこんなにもこの世界が愛おしいのかその理由(わけ)を白いクマは分からない。
どうしてこんなにもこの世界が恋しいのかその理由(わけ)を白いクマは知らない。

この世界のどこかに森に住むという白いクマは遠い昔は氷の世界に住んでいたと言う。

2021年2月7日日曜日

独りごと

 ばあちゃんの話を聞いてくれるかい?
いや、聞かなくても良いよ。これはばあちゃんの独り言だからね。
むか~しばあちゃんの所に小さな男の子がやってきたんだよ。
まだ物心つく前の小さな男の子だ。
今じゃほれ 見上げないと顔が見えんくらいに大きくなった。
ふふふ……。
年月というものはあっという間だね。
ばあちゃん自身も年を取ったよ。
その男の子は両親を事故で亡くしてしまってね、かわいそうな子だ。
ばあちゃんこの子だけはしっかり育てなきゃ、大きくしなきゃってこの子の両親に誓ったよ。

戸惑うことも多かったけど本当に立派に育ってくれたものだよ。
何が戸惑ったかって、そりゃお母さんに会いたいって大泣きされたことが一番辛かったね。
ばあちゃんにはどうすることも出来ん。
だから一緒に大泣きしたよ。大きな声で二人で一緒に大泣きしたよ。
そのまま泣き寝入りしてご飯も食べんと起きたら朝だったことも何度もあったよ。
いつ頃だっただろうかねえ、ピタっと両親のことを口に出さなくなったのは。
それがかえって心配したもんだ。いったい何があったんだろうね。

でも明るいいい子に育って優しい孫はいつまでも自慢の孫だよ。

こらっちゃんとばあちゃんの言う事聞いとるのか??
褒めてるんだよ。
え?何がしてほしいかって?
察しが良い子は好きだよ。
ほれこの画面にある新しいバッグを買っとくれよ。
こないだ買ってやったって?ありゃ財布だよ。

むむ、今回は無理か。
次の手を考えるかの。
何かいい方法があればだれか教えとくれよ。

2021年2月5日金曜日

大嫌い

 ずっと大嫌いだったあの日から
忙しさを理由に一切顔を見ることが無かったのに

わたし暗闇を藻掻いていた
上も下も分からず藻掻いて息をすることも忘れかけていた

会いたい?って聞かれれば絶対会いたくない
大嫌いだもの それは変わらない今も

真っ暗な暗闇を藻掻いているわたしを知らない
藻掻き苦しんでいるわたしを知らない
そんな腐ったわたしを知らない

真っ暗な暗闇に一筋の光が入ったの
針の穴のような光が入ったの
光をくれたのは大嫌いなあなただった

あなたはわたしに光をくれたことに気づかない
少しだけ浮上したわたしに気づかない

会いたい?って聞かれれば絶対会いたくない
大嫌いだもの それは変わらない今も

だけど光をくれたことは忘れない
この光は特別だから
大嫌いなあなたがくれたものだから